ハイパーサーミア(温熱療法)の副作用は?

ハイパーサーミア

ハイパーサーミアとは

細胞は42.5℃以上になると、死滅していきます。この原理を利用して、選択的にがん細胞を加温し、42.5℃以上の環境を作ることで、がん細胞に何かしらの影響を与えることを目的に考案されたのが、温熱療法となります。

ハイパーサーミアはどんな治療?

副作用とは

副作用(ふくさよう)とは、薬や治療法が本来の目的以外に引き起こす望ましくない効果のことです。医薬品を使用すると、病気や症状を改善するための「主作用」が現れますが、それと同時に意図しない体の反応が起こることがあります。この反応が「副作用」と呼ばれます。

例えば、頭痛薬を服用して頭痛が和らぐのは主作用ですが、その薬が胃痛や吐き気を引き起こす場合、それが副作用になります。

ハイパーサーミアの副作用とは

ハイパーサーミアの副作用は、基本的に熱によるものが多いです。

そのため副作用として生じてしまう可能性としては、

⚫︎ 熱による、倦怠感(のぼせた感じ)

⚫︎ 脱水症状

⚫︎ 皮膚の赤み、火傷

⚫︎ 部分的な脂肪硬結(脂肪組織が固まってしまうこと)

が、あげられます。

熱による、倦怠感(のぼせた感じ)

のぼせた感じとは、頭がぼんやりして熱く感じたり、顔が赤くなったりするような状態を指します。この状態は、血液が急に頭に集中することで起こることが多いです。以下のような感覚が含まれることが一般的です。

  1. 頭が重い:頭がぼーっとして、集中力が低下したり、考えがまとまらなくなる感じ。
  2. 顔が熱い:特に顔や首の部分が熱く感じることが多く、顔が赤くなることもあります。
  3. めまい:軽いふらつきや、バランスが取りにくくなることもあります。
  4. 動悸:心拍が速くなり、ドキドキと感じることもあります。

ハイパーサーミアにより、身体を温めると、汗をかかない方でも汗をかく傾向があります。それくらい体内が温められているため、このような症状が出てしまう傾向があります。

ただし、その時の治療方法(どのような加温を行なったか)や、体調、その人の感じ方によって変わってくるため、全員同じような症状になるわけではありません。

また、この状態になったから良いわけでも悪いわけでもありません。治療後にこの症状がでたら、体を動かさず、休めることを優先させることを推奨します。

脱水症状

ハイパーサーミアでは、身体を温めることで、汗をかきます。汗をかかないという方も汗をかいている傾向があります。

そのまま、水分を取らないと脱水症状が出てしまい、めまいやふらつきが生じてしまう可能性があります。

ハイパーサーミアの治療終了後は、水分補給をすることを推奨します。

皮膚の赤み、火傷

ハイパーサーミアにて加温すると、局所的な熱さや痛みにより、皮膚に赤みが残ってしまったり、火傷を負ってしまう可能性があります。

皮膚の赤みは、熱によってできたものと考えます。

治療後すぐに治る方が多いですが、そのまま残ってしまう可能性もあります。

火傷に関しては、小さい水ぶくれができる傾向が多く、局所的にできることがあります。施設によってはやけどのお薬を処方してくれる施設もある。

水ぶくれは日が経てば良くなります。

部分的な脂肪硬結

脂肪硬結とは、皮下脂肪組織が硬くなる状態を指します。ハイパーサーミアによって温められたことにより脂肪が硬くしこりのような状態になる現象です。

このしこりは、無症状のものもあるが、押すと痛みを伴うものもあり、人によって異なる。

脂肪硬結ができやすい部位としては、腹部、乳房、お尻など脂肪が多くある所にできやすい傾向があります。

脂肪硬結は、自然に治ることもあるが、そのまま残ったままのこともある。

ハイパーサーミアの副作用について

ハイパーサーミアの副作用は、必ず全員に出るものではありません。

体型や体調、加温部位によって副作用の出方は変わってくることが多いです。

また、抗がん剤治療に比べると、副作用が少ないため、何度も治療ができるというメリットもあります。

その施設によって、副作用がでないような工夫がなされていることが多く、軽度の副作用となるよう配慮されています。

加温中に何か違和感がある際は、担当医師、担当技師に伝えることが大切になってきます。