体内金属とは
体内金属には、体内電子機器(ペースメーカーなど)、骨折などで固定した金属(プレート、スクリュー、人工関節など)心臓のステント、人工弁、胆管ステント、食堂ステント、など、症状に応じて必要になった金属のことを言い種類は様々あります。
最近の材質だと、非磁性体(磁石にくっつかない素材)のものが使われていることが多いため、MRI検査の際、多くの場合は問題なく検査を行うことできます。
では、ハイパーサーミアは行うことができるのか??
ハイパーサーミア(温熱療法)とは
細胞は42.5℃以上になると、死滅していきます。この原理を利用して、選択的にがん細胞を加温し、42.5℃以上の環境を作ることで、がん細胞に何かしらの影響を与えることを目的に考案されたのが、温熱療法となります。
体内金属がある場合のハイパーサーミア
ハイパーサーミアは、基本的に上下の電極盤で体を挟み加温させます。電磁波の影響により身体全身に電気が流れます。
体内電子機器が体内にある場合、体内電子機器が壊れてしまう可能性があります。そのため、体内に電子機器がある場合は禁忌、治療を行うことはできません。
その他、体内金属はこの電磁波による電気の影響により、加温されやすいためハイパーサーミアでの治療には、より注意が必要となります。
体内金属がある場合
体内金属が「加温領域外であれば問題ない」とされています。
電極盤のサイズには様々あり、大きいもので直径30cmのものもあります。
そのため、直径30cm内に体内金属がなければ、ハイパーサーミアの治療を行うことが可能と言うことになります。
しかし、ハイパーサーミアでの治療は電磁波により身体全体に電気が流れている状態にあるため、加温領域外であっても、体内金属の温度が上昇する可能性は無くなってはいません。
注意しながら治療を行うことが原則としてありますが、施設によっては治療を行わない施設もあります。治療を受けたいと考えている場合、その施設に確認を取ることが必要となります。
⚫︎ 体内電子機器(ペースメーカー、除細動器など)は、治療禁忌のためできない
⚫︎ 固定金属は、加温領域外であれば治療が可能だが、注意が必要となる
⚫︎ 施設によっては治療できない可能性あり
金属以外の加温禁忌
金属以外に加温が禁忌(やってはいけない)とされているものは、
加温領域に、豊胸手術をされて豊胸材(シリコン)が入っている方
加温領域に、金属粉を使用した刺青、タトゥーをされている方。
は治療ができないこととなっています。
MRI検査は大丈夫と言われているけど?
MRIの検査は、磁性体(磁石にくっつく物)の体内金属がある場合、体内で何かしらの影響を及ぼす可能性があるため検査を行うことができません。そのため、近年手術などで使用されている体内金属は、非磁性体(磁石にくっつかない物)のものが使用されているものが多いです。この非磁性体の金属はMRI検査をやっても絶対問題がないと言い切れるものでもありません。
MRI検査も熱を及ぼす可能性が少なからずあるからです。MRIの機器は、体内温度が上昇しすぎないよう制限されています。この制限により、体内金属温度上昇による影響が少ないと考えます。
ハイパーサーミア治療の場合、出力を上げて、あえて体内温度上げて治療する装置となります。そのため、MRIでは大丈夫だった体内金属でも、ハイパーサーミア治療で大丈夫というわけではないことが言えるかと思います。