化学療法とは
がん治療の一種で、抗がん剤を使ってがん細胞の増殖や分裂を抑制する治療法です。抗がん剤は、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を与えるため、副作用が現れることがあります。副作用としては、吐き気、脱毛、疲労、免疫力の低下などが挙げられます。
ハイパーサーミア(温熱療法)とは
細胞は42.5℃以上になると、死滅していきます。この原理を利用して、選択的にがん細胞を加温し、42.5℃以上の環境を作ることで、がん細胞に何かしらの影響を与えることを目的に考案されたのが、温熱療法となります。
化学療法とハイパーサーミア併用治療の効果は?
ハイパーサーミアで身体を温めることで、循環が良くなります。(加温により41度以上になる状態を、マイルドハイパーサーミアと言います。)
また、がん細胞を覆う細胞膜の浸透圧が高まり、抗がん剤の取り込み量が増えます。
そのため、がんに到達する抗がん剤が多くなり、治療効率が上がるとされています。
さらに、がん細胞が抗がん剤により受けたDNA損傷の回復を熱により阻害する働きを持っています。
これらのことから、化学療法の治療効果が増すとされています。
治療のタイミングは?
使用している抗がん剤によって変わりますが、施設によっては化学療法施行後すぐにハイパーサーミアにて体を温める施設もあります。
体内に抗がん剤が多くある状態で、ハイパーサーミアの加温を行うことがより良い治療効果を生む可能性があります。
抗がん剤をやりたくないからハイパーサーミアだけにしたい
抗がん剤をしたら副作用が怖くてできない、効果がわからないからやりたくないなど様々理由があるかと思います。
ですが、ハイパーサーミアはがんに対して必ず十分な加温ができるという装置ではありません。
ハイパーサーミアだけでがんが根治できる方の数は少ないのが現状です。
基本的に、標準治療(外科療法、放射線治療、抗がん剤治療など)と組み合わせて治療をすることで治療効果を向上させるのが良いとされています。
化学療法とハイパーサーミアの治療
化学療法を行い、ハイパーサーミアの加温を行うことで、治療効率が上がる可能性があります。
ただし、抗がん剤の種類や抗がん剤との相性(がんへの効果があるのか、副作用が強すぎて体に合わないなど)、ハイパーサーミアとの相性(熱さや痛みにより、出力をあげられない。姿勢の保持ができないなど)により、ハイパーサーミアを行っても効果がない可能性があります。
様々な研究や論文にて、治療効果が上がる、延命したなどの記述はありますが、どれもまだ研究中というのが現状となっています。
これは、ハイパーサーミアを行っている施設が少ないことにあり、研究対象となる方が少ないことが要因ともなっています。
化学療法を行っているのであれば、ハイパーサーミアの併用という手段があるということを覚えて置いてもらいたいと思います。
ハイパーサーミアの併用治療を考えている方は、主治医に確認してみると良いかと思います。