高気圧酸素療法とは
高気圧にすることが可能な装置にて、高気圧(2〜3気圧)の環境を作り、酸素を吸引することで、酸素を体内に吸収させ、血中酸素濃度を上げることを目的としています。血中酸素濃度を上げることで、様々な治療効果が期待されています。
がん組織内の酸素環境について
がん組織は、細胞の増殖速度に腫瘍内血管が作られる速度が追いつかないことで、ちゃんとした血管が作られず、逆流や遮断してしまうことも多々あり、十分な酸素が供給されない状態が生じている低酸素領域があります。この低酸素領域では化学療法や放射線治療に対し、抵抗性を持つ傾向があります。
詳しく、化学療法の場合、低酸素領域があると、そこは血管が細く、抗がん剤ががん細胞に入りにくくなってしまい、抗がん剤の効果が薄れてしまう可能性。
放射線治療の場合、酸素状態が悪いと感受性が弱くなってしまう可能性があります。
高気圧酸素療法とがん治療について
上記で示すように、低酸素状態にあるがん組織には、化学療法や放射線治療でも効かないものもある可能性があります。ということは、酸素状態を改善することで、効果を高めることが可能ではないか?と行き着いたのが、高気圧酸素療法の併用となります。
気圧を2気圧上げた状態で、酸素を吸引すると人体の酸素状態はよくなるとされています。これは、正常細胞のみならず、がん組織にも同じことが言えます。
低酸素状態が改善されることで、化学療法や放射線治療の治療効果を高める可能性があります。(※抗がん剤には、高気圧酸素療法が禁忌のものもあるので注意)
放射線治療に至っては、副作用である晩期障害(数年後〜数ヶ月後に出現する合併症)に対しても高気圧酸素療法を行うことで、治りを早める効果があるのではないかとされています。
化学療法、放射線治療、高気圧酸素療法に、ハイパーサーミア治療をさらに併用する施設もあります。
ただし、高気圧酸素療法との併用を行う際は、治療のタイミングを合わせる必要があるため、主治医に確認し、調整してもらう必要があるので注意してください。