ハイパーサーミア(温熱療法)はどんな治療?

ハイパーサーミア

細胞は42.5℃以上になると、死滅していきます。

この原理を利用して、選択的にがん細胞を加温し、42.5℃以上の環境を作ることで、がん細胞に何かしらの影響を与えることを目的に考案されたのが、温熱療法となります。

温熱療法にも様々なものがあり、現在、国民健康保険適応が可能となっているのは、「ラジオ波もしくはマイクロ波による局所の領域における加温」のみ適応となっています。

主に2社の機器が保険適応として様々な病院で加温を行っています。今後保険適応となる機器が増えてくる可能性もありますが、確認しても良いかと思います。

山本ビニター社製 「THERMOTRON – RF8 GR edition」

庄内クリエート社製「アスクーフ8」

がん細胞以外の正常組織への影響は?

正常組織には、正常な血管があるため、温められると血管が拡張し、冷却することができるそのため、温熱療法を行なっても、特に問題が生じることは少ない。

がん細胞の場合、栄養を与えている血管は、細々していて、血管の拡張が困難となる。そのため、血流による冷却を行うことができなくなり、正常組織に比べると、温まりやすい傾向がある。

⚫︎ 正常細胞:血管の拡張により、冷却可能なため問題が起きにくい

⚫︎ がん細胞:血管が細く拡張しないため、冷却できず加温されやすい

上下から電極盤で身体の上下から挟み、8MHzの高周波を与えることで、身体内部に高周波電流が流れ、そのジュール熱により患部の温度を上昇することが可能としている。

ハイパーサーミアの治療はどんな感じ?

ハイパーサーミアの治療は、当てる部位が、「胸部の場合」は上半身はだか、「腹部の場合」は上半身、下半身はだかの状態で行う。検査着の上から加温すると加温効率が悪くなってしまうためはだかの状態が望ましとされています。

基本姿勢は

⚫︎ 胸腹部の場合:うつ伏せ(仰向けで行う施設もある)

⚫︎ 頸部やマンモ(乳房)の場合:仰向け

検査時間は

⚫︎ 40分〜60分(施設によって時間が決められている)

治療中は加温により生じる問題点は

⚫︎ 熱さ

⚫︎ 痛み

⚫︎ 姿勢の保持

となる、熱さと痛みは人によって違い、担当してくれる技師や看護師に熱さや痛みを伝えて緩和してもらう。汗をかきにくい人も汗をかくくらい体の内側から温められます。

40〜60分間かけて、がん細胞を加温し42.5℃以上の環境を作り、治療します。

ハイパーサーミア治療を受けるには

ハイパーサーミア治療が可能な病院へ連絡し、治療を受ける。紹介状や現在の状態がわかる画像などが必要な病院もあるので確認した上で予約を入れると良い。

ネット検索で検索する際は、上の機器が使用されている施設か、確認すると良い。

また、ハイパーサーミア単独の治療よりも、化学療法、放射線治療、免疫療法を併用しつつ治療を受けた方が治療効果が高いため、併用治療を行うことを推奨します。