高気圧酸素療法とは
高気圧にすることが可能な装置にて、高気圧(2〜3気圧)の環境を作り、酸素を吸引することで、酸素を体内に吸収させ、血中酸素濃度を上げることを目的としています。血中酸素濃度を上げることで、様々な治療効果が期待されています。
高気圧酸素で期待される効果は
高気圧酸素療法により、血中酸素濃度を上げると、
・炎症があるところ(きずなど)が治りやすい。
・低酸素状態となった末梢組織へ、酸素が運ばれ易くなることで低酸素状態が改善されやすい
・高気圧の環境により、体内に発生してしまったガスの容積を少なくすることが可能。
・高酸素状態により、白血球の働きの促進、細菌の増殖を抑制できる。
・放射線治療や化学療法と併用することで、がん治療への治療効果が高まる可能性がある。
など、メリットが多くある。
治療時間は?
高気圧酸素治療にかかる時間は、施設によって変わりますが、だいたい90〜100分くらいかかります。
内容としては
・検査着に着替え、カプセル状となっている専用機器の中に入る時間。
・気圧を上げる(2〜3気圧)時間、約15分
・気圧が上がった状態で、酸素を吸引する時間、約60分
・気圧を下げる時間、約15分
となります。
適応される疾患
高気圧酸素治療による適応疾患として、
一酸化炭素中毒:一酸化炭素によって酸素が血中に運ばれなくなるため、高気圧下で酸素を供給して酸素不足の解消を目的とします。
ガス壊疽(がすえそ)・壊死性筋膜炎:酸素を増やして免疫反応を促進し、感染を抑える効果があります。
減圧症(潜水病)・空気塞栓症:血液中に空気の気泡ができ、血管を塞ぐ状態に対して、高気圧の環境により血中にある気泡が圧縮され、小さくなる傾向があります。そのため、高気圧酸素療法によりが用いられます。
難治性潰瘍:血流不足や感染による慢性の傷に対して、酸素供給を増やすことで治癒を促進します。
急性放射線障害:放射線治療後の組織損傷や壊死の修復を促進します。
脳虚血や虚血性障害:脳卒中や心筋梗塞後の虚血状態に対して、酸素供給を増やすことで治療効果が期待されます。
熱傷(やけど):酸素供給を増やすことで、損傷した皮膚や組織の治癒を助けます。
腸閉塞(イレウス):腸管内に溜まったガスを高気圧の環境にすることで、ガス容積を減少させ、高酸素が血中にあることで低酸素状態となった腸管の動き(蠕動運動)を回復させる作用が期待される。
皮膚移植後の治療促進:皮膚移植後に、移植された組織の酸素供給を改善し、定着を助けます。
放射線治療は化学療法と併用される悪性腫瘍:腫瘍の内部は極度の低酸素状態となっており、化学療法や放射線治療が効きにくい環境となっています。高気圧酸素治療により、低酸素状態を改善させることで、放射線治療や化学療法が効きやすい環境ができます。
施設によって、適応疾患や治療回数などが異なることもあるので、高気圧酸素療法の治療施設に確認してみてください。